フルメタル・ジャケット(原題:FULL METAL JACKET)
フルメタル・ジャケット (Blu-ray Disc)
今回ご紹介する映画は「フルメタル・ジャケット」です。1987年に米国で制作された映画で、監督は「アイズ ワイド シャット(1999) 」「シャイニング(1980) 」「時計じかけのオレンジ(1971)」「2001年宇宙の旅(1968) 」などで超有名なスタンリー・キューブリックです。主人公は「メンフィス・ベル(1990) 」などに出演しているマシュー・モディン。この作品は戦争映画の古典(または名作)ともいうべき作品なので、このブログを読んでいる方はほとんどご覧になっているかと思います。わたくしも以前劇場やDVDで見ていたのですが、先日、ブルーレイディスクを購入し、再度鑑賞いたしましたので、今回この記事を書いています。

さて、内容ですが、ヴェトナム戦争真っ盛りの中、南カロライナ州の合衆国海兵隊新兵訓練基地での出来事です。このブートキャンプに、8週間の特訓を受ける新兵たちが入隊してきました。その中に、ジョーカー(マシュー・モディン)、パイル(ヴィンセント・ドノフリオ)、カウボーイ(アーリス・ハワード)などがいます。思い思いの服装や髪型をした彼らは、まだ兵隊らしくなく、いきなり冒頭で丸刈りされ、整列させられます。そこに、猥雑な言葉や罵詈雑言を新兵達に浴びせかける鬼のような訓練教官ハートマン(リー・アーメイ)がやってきます。彼らは、この鬼軍曹に、初日から理不尽とも言える厳しい訓練を受けます。

実際に訓練は苛酷で厳く、ハートマンは容赦なく彼らを鍛えていきます。しかしながら、バイルは何をやらせてもノロマで不器用なため、ハートマンの目に付き、バイルは激しいシゴきの対象となります。

いろいろなシゴキを与えてもなかなか態度や練度があがらないバイルに業を煮やしたハートマンは、バイルのミスを全体責任とし、バイルは立ったまま、その他の訓練兵に腕立てふせをさせるなど、次第にバイルのミスを他の訓練生のシゴキに転化にしていくようになります。

そんな中、仲間の訓練生からバイルに対するフラストレーションがたまり、ある夜彼らはバイルをリンチします。

そんなパイルをジョーカーはバディとして、精一杯彼をかばったり、銃の掃除などを手伝っていましたが、パイルは精神に異常をきたしたのか、次第に目つきが変わってきます。そしてある日のこと、今まで皆の足手まといだったバイルに意外な特技をハートマンは発見します。それは、銃の射撃です。バイルは、訓練生の仲間よりも、射撃に関する腕は一枚上手で、非常に精度の高い射撃を行うことができました。

そこからバイルは異常ともいえる執着で彼の銃を愛し、射撃の腕を高めていきます。

卒業前夜のこと・・・ここに至って、バイルの狂気がついに爆発します。トイレでブツブツ何かをつぶやきながら愛銃を触っているバイル。それを発見したハートマンは注意し、ベットに戻るよう命令しますが、バイルは銃を構え、ハートマンを撃ち殺してしまいます。そして、自らも銃をくわえて自殺してしまいます。

そして、時は過ぎ、1968年1月、新兵たちは一人前の海兵隊員としてそれぞれの部隊に配属され、ヴェトナムでそれぞれの任務を遂行しています。ジョーカーはダナン基地において報道隊員として比較的のんびりとした生活を送っていました。しかし、北ヴェトナム軍の激烈なテト(旧正月)攻撃が始まり、ジョーカーは純真なカメラマンのラフターマン(ケヴィン・メジャー・ハワード)とともに最前線のフエ市へ向かいます。

そこで彼らの見たものは?彼らの運命は如何に・・・。

そんなあらすじです。

この作品は大きく二部構成的になっており、まず第一部は上記あらすじにもありますように新兵訓練所での厳しい訓練生活を軍曹とバイルを中心に描かれていきます。その後、舞台は一転、ベトナムに移り、そこからジョーカーを中心とした激しいベトナムでの戦闘シーンに突入していきます。

監督がスタンリーキューブリックとだけあり、前半部分の軍曹やバイルの狂気性、また後半のこれまたある種、正気と狂気のハザマで揺れ動く兵士たちの感情を、実にうまく演出していると思います。

この監督は、「シャイニング(1980) 」「時計じかけのオレンジ(1971)」などでも、人間の狂気や凶暴性を描いていましたが、この「フルメタル・ジャケット」についても、そのことがいかんなく発揮しています。

独特な演出手法やカメラワークにより、観客はこの主人公たちの精神的な不安定さを、無意識に感じるようになります。流石に映画界を代表する巨匠だけに、その巧みの演出手法には、近年の戦争映画の名作ともいえるプライベートライアンなどとは一味も二味も違った意味で、戦場の狂気や感覚といったものをリアルに描いていると思います。

そして、最後のクライマックスで敵狙撃兵を米兵たちが撃ち殺し、任務が終了、彼らは次の戦場に向かいます。そして、この主人公たちは破壊し尽くされた街を全員が「ミッキーマウスマーチ」を歌いながら行進していきます。。。

冒頭から最後まで、正気と狂気の間にある人間性に対する冷徹な視点や、人間とはどういう生き物なのか、そんな哲学的とまでいってもいい問いかけを私はこの映画を観ながら、感じました。やはり、映画界の巨匠が手がけた戦争映画らしく、他の作品とは一風ちがった文学的とまでいってもいいぐらいの作品に仕上がっていると思います。

中には前半のインパクトが強くて、後半の戦闘シーンがたいしたことないという意見もありますが、私は数度この映画を観ましたが、後半についても、その演出やカメラワーク、それにセットやストーリーについても、非常にすばらしいものと思いましたよ。

キャスト
Matthew Modine マシュー・モディン (Pvt.Joker)
Adam Baldwin アダム・ボールドウィン (Animal Mother)
Vincent D'Onofrio ヴィンセント・ドノフリオ (Pvt.Pyle)
R. Lee Ermey R・リー・アーメイ (Gny Sgt.Hartman)
Dorian Harewood ドリアン・ヘアウッド (Eightball)
Kevyn Major Howard ケヴィン・メジャー・ハワード (Rafterman)
Arliss Howard アーリス・ハワード (Pvt.Cowboy)
Ed O'Ross エド・オーロス (Lt.Touchdown)
John Terry ジョン・テリー (Lt.Lockhart)
Kierson Jecchinis キアソン・ジェキニス (Grazy Earl)
Kirk Taylor カーク・テイラー (Payback)

スタッフ
監督:Stanley Kubrick スタンリー・キューブリック
製作:Stanley Kubrick スタンリー・キューブリック
製作総指揮:Jan Harlan ジャン・ハーラン
原作:Gustav Hasford グスタフ・ハスフォード
脚色
Stanley Kubrick スタンリー・キューブリック
Michael Herr マイケル・ハー
Gustav Hasford グスタフ・ハスフォード
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フルメタル・ジャケット (Blu-ray Disc)
【2008/05/03 09:17】 | ベトナム戦争映画 | トラックバック(0) | コメント(9) |
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