![]() 今回ご紹介する映画は「ユナイテッド93」です。2006年米国で制作された映画で、監督はポール・グリーングラス(Paul Greengrass)で、2004年『ボーン・スプレマシー』を手がけ、2007年には『ボーン』シリーズの完結編『ボーン・アルティメイタム』を手掛けましたので、ひょっとしたら、ご存知の方も多いかもしれませんね。彼は、2002年、血の日曜日事件を描いた『ブラディ・サンデー』も監督しており、第52回ベルリン国際映画祭金熊賞を受賞いたしました。(『千と千尋の神隠し』との同時受賞)。 さて、内容ですが、この作品は、あの2001年9月11日の出来事、「米国同時多発テロ」を描いています。ニューアークの空港から、通常の運航予定通りにユナイテッド航空93便は、何もしらない40名の乗客を乗せ、サンフランシスコへ飛び立ちます。 その後、ワールド・トレード・センターに2機の民間機が激突、米国内は混乱の極みとなります。一方、ユナイテッド93便の機内においても、テロリストがハイジャックを決行、爆弾を持って操縦室を制圧してしまいます。ユナイテッド93便の乗客たちは、混乱するが、次第に地上で起こっている事態を携帯電話などを使いながら、知るようになる。 自分たちもワールド・トレード・センターに突入した便とこのまま行けば、同じ運命をたどるに違いない・・・。 そして、意を決した乗客と乗員たちは、わずかな武器を手に立ち上がった…。 そんなあらすじです。 この作品は、同時多発テロでハイジャックされた飛行機の中で唯一、目的地に達しなかった便として有名です。他の飛行機はテロリストの狙った標的に突入している中、何故このユナイテッド93便だけが、それを妨げることができたのか?機内では何が行われ、何故そうなったのか?事故当時の数々の遺族やその事件に関与した管制官や事故調査担当者の証言や資料をもとに、可能な限り当時の状況をリアルに再現し、製作されたドキュメンタリードラマです。製作に際しては、遺族のほとんどから了承を得たそうです。 この映画は、監督の演出手法(手持ちカメラでドキュメンタリー的撮影を行う)や無名の役者起用、パイロットや客室乗務員役にはその職業の本当の経験者を起用したり、また特に管制官役の一部に至っては、事件当時実際に勤務していた管制官が本人役を演じていたりすることにより、この映画の観客はあたかも自分がその事件のその場にいたような錯覚を起こすぐらい、非常にリアルに事実に則って(ほぼ)忠実に事件を描いているようです。 わたしも事件当時、リアルでCNNのニュースに釘付けになっていましたが、正にその時、米国内での状況や、このユナイテッド93便の中でどのようなこのようなことが行われていたのかを、観客はほぼ正確に知ることができます。 結果はわかっているにもかかわらず、最後までこの乗客や乗務員を助けてあげたいと思いますし、また自分もあたかもその便に乗っているような気持ちにさせられ、非常にすばらしい映画ですが、(すばらしい映画ゆえに)見た後の虚脱感や無力感は相当なものがあります。ただし、この映画を観ると米国の危機管理の対処のすばやさや、米国民の危機に際する反応は私は非常に関心します。日本でもし、このような事件が起こったのなら、我々はこのような対応をできるのであろうか?「明日はわが身」という言葉がありますが、日本国、または日本人はこの事件によって、何を学び、これからの時代をどう生き抜いていくのか?そのような危機管理や危機感をもっているのか?覚悟はあるのか?そんなことを考えさせられる映画でした。 まだ、観ていない人はお勧めですので、是非ご覧あれ。 監督 ポール・グリーングラス 製作総指揮 ライザ・チェイシン デブラ・ヘイワード 脚本 ポール・グリーングラス 音楽 ジョン・パウエル 撮影 バリー・アクロイド 編集 クレア・ダグラス リチャード・ピアソン クリストファー・ラウズ 乗務員 ジェイソン・M・ダール機長:JJ・ジョンソン リロイ・ホーマー Jr.副操縦士:ゲイリー・コモック ロレイン・G・ベイ:ナンシー・マクダニル サンドラ・ブラッドショー:トリッシュ・ゲイツ ワンダ・アニタ・グリーン:スターラ・ペンフォード シーシー・ライルズ:オバル・アラディン デボラ・ウェルシュ:ポリー・アダムス テロリスト ジアド・ジャラ:ハリド・アダブラ アフメド・アルハズナウィ:オマー・バーデゥニ サイード・アルガムディ:ルイス・アルサマリ アフメド・アルナミ:ジェイミー・ハーディング 乗客 クリスチャン・アダムス:エリック・レッドマン トッド・ビーマー:デイヴィッド・アラン・ブッシュ アラン・アンソニー・ビーヴァン:サイモン・ポランド マーク・ビンガム:シェエン・ジャクソン ディオラ・フランシス・ボドリー:トリエスト・デュン マリオン・R・ブリトン:ジョディー・リン・マクリントック パトリック・ジョゼフ・ドリスコル:マイケル・J・レイノルド トーマス・E・バーネット Jr.:クリスチャン・クレメンソン ウィリアム・ジョゼフ・キャッシュマン:リチャード・ベキンズ ジョジーン・ローズ・コリガン:マルセリーヌ・ヒューゴ パトリシア・カッシング:レベッカ・シュル ジェーン・フォルガー:スーザン・プロンマート エドワード・P・フェルト:ジョン・ロスマン コリーン・フレイザー:デニー・ディロン アンドリュー・ガルシア:ピーター・マリンカー ジェレミー・グリック:ピーター・ハーマン クリスティン・ホワイト・グールド:タラ・ヒューゴ ローレン・カツゥーチ・グランドコラス:ケイト・ジェニングス・グラント ドナルド・フリーマン・グリーン:デイヴィッド・ラッシュ ジョゼフ・デルカ:レイ・チャールソン リンダ・グロンランド:ローナ・ダラス リチャード・ガダーニョ:ダニエル・サウリ 久下季哉(93便に搭乗していた日本人大学生):マサト・カモ ヒルダ・マーシン:リビー・モリス ウォレスカ・マルティネス:ライザ・コロン・ザヤス ニコール・キャロル・ミラー:オリビア・サールビー ルイス・J・ナック2世:コリー・ジョンソン ジーン・ピーターソン:ベッキー・ロンドン ドナルド・ピーターソン:トム・オルーク マーク・ローゼンバーグ:チップ・ジエン クリスティン・シュナイダー:レイ・ジンマーマン ジョン・タリナーニ:ジョー・ジャムログ オーナー・エリザベス・ワイニオ:クロー・シレーン ![]() |
![]() 今回ご紹介する映画は「宇宙戦争」です。2005年米国で制作された映画で、主人公は「トップガン」や「7月4日に生まれて」のトム・クルーズ、監督は「プライベートライアン」のスティーヴン・スピルバーグ ですので、ご覧になった方はたくさんいらっしゃると思います。また、このブログでは珍しいSF作品となっています。 まず、内容ですが、アメリカ東部の町にある港湾施設で、大型輸送船に積み込むコンテナを巨大なクレーンで操り、積載していく仕事をしているレイ・フェリエ(トム・クルーズ)は自宅に帰宅したとき、急に巨大な暗雲が周辺で立ち上っていくのを発見しました。その暗雲は巨大さを増し、稲妻や嵐を巻き起こし、町をパニックに落としいれました。 そして、町中心街では道路のアスファルトを破り、地中深くから巨大な三本足の殺人マシーンである「トライポッド」が姿を現し、人間を手当たり次第に巨大なビームのような光線で抹殺し始めました。一部始終を目撃したレイは、別れた妻から預かった息子ロビー(ジャスティン・チャットウィン)と娘レイチェル(ダコタ・ファニング)を連れて町を脱出します。 彼は、安全な場所を探して車を走らせますが、「トライポッド」は一体だけではなく、地中からたくさん出没し、その殺人マシーンは圧倒的な攻撃力で、米国の空軍・陸軍などの総攻撃もあっさりと撃退、徐々に人類を破滅に追いやっていきます。またこの「トライポッド」は、米国だけでなく、世界中に出現し、人類を欲しいままに殺戮の限りを尽くします。人類が初めて体験する宇宙からの侵略。最期の時を前に、人々はただ怯えることしかできない・・・。はたして、レイやロビー、レイチェルの運命は?彼らは生き残ることができるのか? そんなあらすじです。 さて、感想ですが、この作品はあのスピルバーグとトム・クルーズが組んだ作品なので、非常に期待し、わくわくしながら見始めました。そして、冒頭のトライコーン出現のシーンでは、その演出手法(プライベートライアン的な色を落としたドキュメンタリータッチの画像、手ぶれカメラ、そして腹にしみる音響効果・・・)により、非常に冒頭から後半まで期待することができそうな始まり方でした・・・。 ところが、何かがおかしいんです。話が進んでいくとともに、この映画にまったく感情移入できない自分がいました。最高の監督による、最高の役者を動員し、そして、スピルバーグ映画史上最高額の製作費1億3300万ドル(約138億円)をかけ、最高の撮影監督、そして、ジョン・ウィリアムズの音楽、最高のCGやSFX・・・もうあげれば切がないくらい、最高という称号をつけるところがたくさんある作品なのに・・・でも、まったく面白くないんです。 それは何故か? そうなんです、脚本がぜんぜん練られておらず、ストーリーは何か安直ですし、2001年9月11日に起きた同時多発テロ事件を反映した演出にはなっていますが、根本的な内容はもともとの原作(イギリスの作家H・G・ウェルズが1898年に発表したSF小説)をもとにしているため、何故か現代の感覚とマッチしない内容となっているからです。 たとえば、トライコーンは超科学兵器で人類の技術では到底太刀打ちできないハイテク兵器であるはずなのに、家の中に隠れた主人公たちを、伸びる眼(センサーなど使うわけではなく)、つまり視覚だけで探し、うまく隠れられて見失うとか、人間をトライコーンに取り込む(口みたいなところから人間を食べミンチにしている?)のも何か原始的だったり、なんだか観ていて超ハイテクでなければならないのに、超原始的なやり方で人類を捜し求め、殺戮するという、なんだか矛盾している感じがしました。 さらに、主人公たちの葛藤や、いろいろな複線があるようでまったく設定されておらず、冒頭で出てきた内容や主人公の性格などが後々に生きてくるというような演出がされていないので、冒頭から終わりまでがなんだかあまり意図を感じずあっけらかんと終わってしまいます。 しかも最後の「落ち」は、ある種驚愕の結末(口をあんぐりあけてしまうぐらい)がまっており、エンドロールが流れるころには、その脱力感でわれを忘れ、テロップの最後まで失神(笑)するぐらいの衝撃があります(言い過ぎ?)心の中で、あのシーンはなんだったんだ?とか、この宇宙生命は何をしたかったのか?なぜ何年も地中に隠れていたのか?そして、何故今出現するのか?ティム・ロビンスはいったいなんだったんだ?彼を使う必要があったのか?など、いろいろ考えさせられる映画でした(笑) なので、この映画は脚本以外は最高傑作といっても過言ではないぐらいよくできていますので、ストーリーをまったく気にしない映画好き(そんな人がいるとはおもえませんが)だった楽しめるかもしれません。また、映像や音響効果、中の戦闘シーンなどは非常にリアルにできているので、各シーンをストーリーと関係なく見るんであれば、また違った楽しみ方もあるかなって思いましたよ。 キャスト レイ・フェリエ:トム・クルーズ(吹替:森川智之) レイチェル・フェリエ:ダコタ・ファニング(三村ゆうな) ロビー・フェリエ:ジャスティン・チャットウィン(野島健児) ハーラン・オグルビー:ティム・ロビンス(てらそままさき) メリー・アン・フェリエ:ミランダ・オットー(本田貴子) ナレーター:モーガン・フリーマン(津嘉山正種) スタッフ 製作:キャスリーン・ケネディ 監督:スティーヴン・スピルバーグ 脚本:ジョシュ・フリードマン、デヴィッド・コープ 音楽:ジョン・ウィリアムズ 視覚効果スーパーバイザー:デニス・ミューレン、パブロ・ヘルマン ![]() |
![]() 今回ご紹介する映画は「フランドル」です。2005年フランスの映画で、06年カンヌ国際映画祭で審査員グランプリを受賞した作品になります。監督のブリュノ・デュモンは、1作目の『ジーザスの日々』でカンヌのカメラドール特別賞及びジャン・ヴィゴ賞を獲得し、続く2作目の『ユマニテ』で同映画祭の審査員グランプリを受賞するなど、フランス映画界の巨匠とまでは行かないまでも、数々の作品を受賞する名監督のようです。 さて、内容ですが、フランス最北部のフランドル地方の小さな村から話は始まります。 この緑豊かな農村に少女バルブ(アドレイド・ルルー)がいます。彼女は、セックス依存症のような状態で、デメステル(サミュエル・ボワタン)、ブロンデル(アンリ・クレテル)など彼女を取り巻く男性と次々に体を重ねています。バルブの幼馴染のデメステルは、そんな彼女の性癖をしりながら、彼女に対する複雑な感情をもっているものの、その感情を表情に出すことなく、たんたんと農作業を続け、日々暮らしています。 そんな彼は荒涼とした砂漠地帯で行われている戦場に志願して、赴くことになります。 その戦場で彼らは丘をこえ、砂漠の中を歩き続け、そして村を探索します。彼らの兵士としての行為は(少年兵をためらわず射殺するなど)次第に残虐的になっていき、ある時村にいた女性をレイプします。そこにはデメステルも加わっていました。 一方、バルブはデメステルや、ブロンデルが暴力に満ちた戦場で次第に自分を失っていくのと同時に、彼女もまた村で徐々に精神的なバランスが崩れ、とうとう精神病院に収監されてしまいます。 そのころデメステルは、哨戒中に同じ部隊の兵士が農民(護身用の拳銃を保持していた)を射殺したことにで、ゲリラの追撃にあい、捕虜になってしまいます。そして、敵の基地に連れられていった彼は、哨戒中に行方不明となっていたブロンデルと出会います。そこに以前レイプした女兵士が現れ、彼らの仲間の兵士一人を指差します。指差された兵士は無残にも局部を切り取られ、そのまま射殺されます。そして、次は彼らの番になったときに、突然上空から攻撃ヘリコプターが現れ、彼らは窮地を脱出します。 はたして、彼らは逃げ切ることができ、自分たちの故郷にもどることができるのか?バルブはいったいどうなってしまうのか? そんなあらすじです。 さて、この映画は上段のあらすじをお読みいただくとお分かりになるように、性と暴力がこの監督の演出により、ある意味淡々と描かれています。またこの映画は説明的なシーンがほとんどないため、なぜバルブは周りの男たちと体を重ねてしまうのか?なぜ戦場で彼らは暴力的なっていったのか?そもそも彼らはどこの戦場におり、何の目的で戦っているのか?任務はなんなのか?そして捕虜となったときになぜ逃げ切れたのか?・・・・さまざまなことが明らかにされないままそれぞれのシーンが積み重なっていきます。 最初私は、このDVDパッケージを観て、イラク戦争を題材とした「アメリカン・ソルジャーズ」のフランス映画版かと思い、激しい戦闘シーンを期待して観ましたが、どちらかというとこの映画は、農村と戦場で行われる性と暴力を淡々と描いていきます。 そこにはこの監督の、登場人物を突き放した視点で見ており、またなんの解説もまじえず、無駄なものはすべてそぎ落とした演出で、しかしながら観るものに対しては、何かを考えさせる・・・そういった匠の演出力・・・そのようなものを感じさせます。 私は初め戦闘シーンを期待して観ていたので、「何じゃこれは」と素直に驚きましたが、その後シーンが続くにつれ、次第にこの映画に引き込まれていくことを感じましたし、また観終えた直後よりも、数日たった今のほうが、印象深く、さらにまた将来もう一度観てみたいと今おもっている自分に驚いています。 この映画は戦闘シーンを期待する人やフランス軍の軍装などに興味がある人には、まったくお勧めできませんが、性と暴力を描いたある種変わった文学的な戦争映画(?)を観てもいいと思う人には、一読(?)をお勧めします。私は観てよかったと(一週間たって)思っています。 監督・脚本 ブリュノ・デュモン 出演 アドレイド・ルルー サミュエル・ボワダン アンリ・クレテル ジャン=マリ・ブルヴァール ダヴィッド・プーラン ![]() |
![]() 今回ご紹介する映画は「Uボート」です。1981年に公開されたドイツ制作の潜水艦映画です。監督・脚本は、「エアフォース・ワン 」(1997)、「トロイ」(2004)のウォルフガング・ペーターゼン。主演は、「イングリッシュ・ペイシェント(1996)、ダ・ヴィンチ・コード The Da Vinci Code (2006) などにでているユルゲン・プロホノフ です。元々は全6話のテレビシリーズとして製作された作品を編集し、公開されました。1983年のアカデミー賞で6部門にノミネート(監督、撮影、視覚・音響効果、編集、音響、脚色。ただしいずれも受賞はならず)されるなど、国際的に広く評価された作品です。この作品の評価により、ウォルフガング・ペーターゼンは、以後ハリウッドに進出することになりました。 さて、内容ですが、第二次世界大戦下の1941年秋、ドイツの占領下にあったフランス大西洋岸にあるラ・ロシェル港から、1隻のUボート(U96)が出港します。彼らに与えられた任務は、敵勢力に補給面から打撃を与えるため、大西洋を航行する連合軍の輸送船を撃沈することです。 このUボートの乗組員は、艦長を含めて総勢43名。最年長の冷静且つ操艦にたけた古参の艦長(ユルゲン・プロホノフ)でさえ30歳、その他の乗組員たちは皆せいぜい20代前半になります。今回、この取材に同行するため初めてUボートに乗り込む報道部記者ヴェルナー(ヘルベルト・グリューネマイヤー)においては22歳の若さとなります。 ラ・ロシェル港から出撃後、しばらくの間は新鮮な野菜や食料があり、また敵国の駆逐艦などの脅威も少なく、乗組員全員が意気揚々ととても士気が高い状況でした。しかしながら、連合軍は対潜水艦戦術を向上させてきており、ドイツ軍のUボートの生存率は徐々に下がってきていました。 Uボートは荒れ狂う北大西洋での哨戒任務および敵船団攻撃を実施、しかし敵駆逐艦に追尾され、ソナーによる探索、および爆雷の投下による恐怖…。そして敵駆逐艦を轟沈させ、帰国できると一息ついた彼らに届いたのは、イギリス海軍の地中海本拠地のあるジブラルタル海峡を突破せよ、という過酷な任務でした。 敵が細心の注意をはらって哨戒している海域を静かに潜航し通過しようとしましたが、敵に発見され、致命的な損傷を受けます。U96は浮上させる装置が故障し、艦はその耐圧能力を大幅に超えた280Mの深さまで、沈んでいきます。 絶望的な状況下で、艦長は修復作業を命令します。乗組員の知恵と創意工夫により、大量の浸水は食い止められるも、浮上装置は故障したまま、必死の修復作業を行いますが、どんどん艦内の酸素は欠乏していきます。少ない酸素を無駄に消費しないため、必要最小限の乗組員以外は、全員横になり、その修復の時を待ちます。時間は刻一刻と過ぎ去っていき、艦内にほとんど酸素がありません。意識が朦朧とし始める乗組員たち。 はたして、彼らの運命は?彼らはこの窮地を脱出し、母港に帰りつけることができるのか? そんなあらすじです。 さて、前回このブログで「U-571」をご紹介しましたが、こちらの「Uボート」はその元祖にあたり、まさに「潜水艦映画に駄作なし」といわれますが、その中でもこの作品は、まさに潜水艦映画の最高傑作といってもいい内容となっています。 1981年の作品ですので、SFXやコンピューターグラフィックなどあまり活用されていませんが、そのストーリー展開や演出、役者さんたちの好演などにより、とてもリアルで戦時の潜水艦がどのような形で運営され、どうのようなプレッシャーの下で戦ったのかが、非常な緊迫感のもと理解することができます。 戦争当初、ドイツ軍の宣伝やまだ連合国軍の対潜水艦作戦の稚拙により、大西洋を我が物顔に席巻していたUボートですが、その後対潜水艦作戦の進化により、どんどん犠牲が増えていきました。実際には出撃した艦の4分の3は生きて変えることができないという過酷な任務だったようです。 そのような危険な潜水艦の任務を、その出港から帰還まで、様々な海上での脅威や攻撃を受けながら、かろうじて生き延びる潜水艦の乗組員の姿をとてもリアルに、そして極限状況におかれてもなお頑張り抜く、不屈の精神をもった兵士たちの姿を描いています。 この作品は、潜水艦の華々しい側面はあまり出てこず、どちらかというと敵攻撃の脅威にさらされた時、潜水艦乗りはどのような恐怖を感じるのかを、巧みな演出により描き、観るものにもその非常な心理的プレッシャーを与え続けます。爆雷に翻弄される艦内や、沈没した海底での修復作業。本当に観る者に息苦しさを与え、まさにその場居合わせてるんじゃないかと感じるくらいのリアリティがあります。 この映画は、おそらく「潜水艦映画」の中でも、上位に位置する大変すばらしい作品であり、ひょっとしたら、(もちろん、観る人にもよるとは思いますが)最高傑作といってもいいぐらい、非常によくできた素晴らしい作品だと思います。 このブログを読んでいる人はきっと、この作品を観ているに違いないでしょうが、まだ観ていないというある意味、幸運な(笑)人は必見ですし、またディレクターズカット版をご覧になっていないのでしたら、劇場公開版より1時間以上も長いこちらの鑑賞をお勧めします。より詳細に、より感情移入しやすい内容になっていますので。是非、未見の方は、お楽しみください。 俳優 艦長:ユルゲン・プロホノフ ヴェルナー少尉:ヘルベルト・グレーネマイヤー 機関長:クラウス・ヴェンネマン 第一当直士官:フーベルトゥス・ベンクシュ 第二当直士官:マルティン・ゼメルロッゲ 一等航海士:ベルント・ダウバー ヨハン:アーウィン・レダー 原作:ロータル=ギュンター・ブーフハイム 監督・脚本:ウォルフガング・ペーターゼン 音楽:クラウス・ドルディンガー 製作:ギュンター・ロールバッハ 製作助手:ミヒャエル・ビティンス 撮影:ヨスト・ヴァカーノ 製作総指揮:ルッツ・ヘンクスト プロダクション・デザイナー:ロルフ・ツェートバウアー、ゲート・ヴァイトラー 編集:ハンネス・ニーケル ディレクターズ・カット プロデューサー:オートウィン・フレイヤマス 時間: 209 分 ![]() |
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